カタブツ上司に愛された結果報告書
観覧車は止まることなく上昇し続け、次第に頂上が近づいてきた。


「なのであのような注意事項をお渡ししてしまいました。私は代表の秘書であり、支える立場にあります。その私の話題で社内を乱したくありません。自分の仕事に責任を持ってこれからも取り組んでいきたいと思っています」


そう話す田中さんは、今まで見てきた中で一番かっこよくて胸をときめかされる。


やっぱり私は仕事に一生懸命取り組む彼のことが好きだ。


私より仕事を優先するって遠回しに言われているのに、怒るどころか尊敬してしまっているのだから。

それが彼の魅力だとさえ思えてしまう。


「はい、ちゃんと分かっています。……それに私、仕事をしている田中さんが好きですから」


溢れる気持ちは決壊したダムの如く言葉として出てしまった。

恥ずかしいセリフもいとも簡単に。


「私も負けないように頑張ります! それに今の仕事好きですし、ずっとうちの会社に入るのが夢でしたから」

「……滑川さん」


そう思うと私は、なんて幸せ者だろうか。
大好きな職場で好きな仕事ができて、さらに田中さんと出会えて付き合うことができたのだから。
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