部長っ!話を聞いてください!

部長のことを考えながら選んだあの時間は本当に楽しくて、幸せだった。

昨日の事を思い出せば、やっぱり笑顔になってしまう。


「……これ、昨日買ったんだよな?」

「はい。部長の誕生日を知ったのは昨日でしたから、仕事が終わったあとに」


部長は、私が差し出しているプレゼントを、じっと見つめている。

見つめているというよりは、睨みつけているという方が近いかもしれない。

なんだか今日は、部長の目つきが悪い。

おまけに機嫌も悪いように思える。

朝から何か嫌なことでもあったのだろうか。もしくはひどい低血圧とか。


「……あの、部長?」


呼びかけると、その冷やかな瞳と視線がぶつかった。


「プ、プレゼント、受け取ってくれますか?」


すっと、部長が息を吸い込んだ。


「いらない」

「……えっ?」


私の時間が一時停止した。

再び時が動き出すまで、五秒かかった。


「どっ、どうしてですかっ! 受け取ってください!」

「いい。いらない」

「もらってくださいよー。部長に買ってきたんですから!」


ショッピングバックを押し付けようとしたけれど、部長は私と一定の距離を保とうとする。


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