部長っ!話を聞いてください!
反動で椅子が後ろに下がると、カラカラカラと椅子のキャスターが鳴り響いた。
しかし何もないはずの所で、椅子が何かにぶつかり動きが止まる。音も止む。
「あっ、すみません」
誰かにぶつかってしまったと思い、肩越しに後ろを見て、私は息を止めた。
「……土屋」
部長が後ろに立っている。
ほんの一瞬、鼓動が高鳴ったけど、そこに嬉しさなんてない。
部長の手には、先輩社員のプレゼントがある。
その事実が切なくて、苦しくてたまらなくて……私は部長から目をそらし、立ち上がった。
「ぶつかってしまってすみません。以後、気をつけます」
椅子をデスクへと移動させていると、部長が再び「土屋」と私を呼んだ。
呼びかけられたけど、なかなか振り返れずにいると、今度は遠くから「神崎部長!」と呼ぶ声が聞こえてきた。
部長は「あぁ」と返事をした。でも私の後ろから動く気配はなかった。
振り返りたい気持ちと、振り返りたくない気持ちが、心の中でせめぎ合っている。
「土屋」
再び呼びかけられ、私は声を上げた。
「しっ、失礼しますっ!」