部長っ!話を聞いてください!

けれどそれ以上に、誰からのプレゼントも受け取っていないだろう部長が、私のプレゼントだけを受け取ってくれていることが、嬉しくてたまらない。


「……気を遣ってくれたんですね。ありがとうございます」


掠れ声でぽそぽそ言葉を発しながら、俯いてしまう。

恥ずかしくて、こちらをじっと見つめてくる部長の顔を見ていられない。

また無言になってしまった。

私は意味もなく、空になった消臭スプレーのボトルと、詰め替えの袋をテーブルに並べた。

ちらりと顔を上げるとすぐに部長と目が合った。

やっぱり気恥ずかしくて、私はすぐにテーブルの上に視線を戻してしまう。


頭の中が真っ白で、何を話して良いのか分からない!


沈黙が続く。

開けた窓の向こうから、やけにはっきりと車のエンジン音が響いてきた。

視線を彷徨わせたあと、ちらりと部長を視界に入れる。

腕を組み、何かを考えるようにどこか一点を見つめてる。

人が二人いるのに、部屋が静かすぎる。

何か話しかけたいけど、話題も思い浮かんでこなくて、うまい場の繋ぎ方も思いつかなくて……とりあえず私は消臭スプレーの中身の補充にとりかかった。

今日もあの男が家の中に入ったから、徹底的に除菌しなくては。


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