部長っ!話を聞いてください!
「……土屋」
「はっ、はい!」
突然呼びかけられ、詰め替え用の口を開けた手が小刻みに震えた。
「今日は、ほんと悪かった」
「もういいですよ。部長には助けてもらいましたし」
笑顔を浮かべ首を横に振ると、部長がちょっとだけ切なげな顔をした。
「俺の家、この斜め上だから、ベランダにいるとたまに聞こえるんだよ。土屋の声が」
そう言って、部長が肩越しに窓の外へと視線を上げた。
「えっ!?」
予期せぬ情報に、手に持っていた詰め替え用の袋を、慌ててテーブルの上に立てて置いた。
「わ、私の声、聞こえてました!?」
「あぁ。“部長”って」
やばい。それはもう心当たりがありすぎて……恥ずかしくて、倒れそう。
「土屋が俺を呼ぶ声をもう少し聞いていたかったから、同じマンションに住んでることはしばらく黙っておこうって思ってたんだ」
「……あのー……会社でも家でも、私に呼ばれて嫌じゃなかったですか?」
ストレスになっていたんじゃないだろうか。
恐る恐る問いかけると、部長が笑った。
「全然。逆に俺は、土屋の”部長“って呼ぶ声を可愛いって思ってるから……それに、」