部長っ!話を聞いてください!
私を見つめる朗らかな目元が、真剣なものへと変化していく。
「“部長”って声が聞こえると嬉しくて……甘えてくれてるようにも聞こえて……俺のことを好いてくれてたら良いなって、ずっと思ってた」
思わず部長と叫びたくなったけど、ぐっとこらえた。今の私の声はガサガサで、全く可愛くない。
「だから昨日、お前が誰かと寝てるんだと思ったら切なくて、やりきれなくて……勝手に腹を立ててた」
囁くように、部長が自分の気持ちを言葉にする。
朝から部長の機嫌が悪かった理由に、徐々に心が浮足立って行く。
だって、それって、つまり……。
「バカだよな。俺、十歳も年上のくせに、余裕なんて全然なくて、カッコ悪い」
前髪をかき上げるように手で押さえて、部長は自嘲気味な笑みを浮かべた。
その顔は心なしか、赤くなっている。
テーブルに足をぶつけながら、私は勢いよく立ち上がった。
地味に痛いけど……痛みなんて気にしてる場合ではない。
私は窓際に立っている部長へと、突き進んでいく。
「そっ、それって! もしかして! 嫉妬ってやつですか!?」
部長が焼きもちをやいてくれていた。
そうと分かれば、今日一日の記憶から切なさが吹き飛んでいった。