黄金の覇王と奪われし花嫁
ある朝、ユアンが洗濯物を干そうと外に出たときだった。
涼しげな顔立ちのすらりとした男と目が合った。 寝起きなのか軽装で、薄茶色の長い髪は後ろで一つにまとめている。
バラクの腹心のナジムだ。
ナジムはにこやかな微笑を浮かべて、ユアンに声をかけた。
「おはよう、ユアン。 こちらでの生活は慣れましたか?」
敬語を使ってはいるけど、ユアンに対する敬意などは全く感じない。
むしろ嫌われているような気さえする。
バラク以上に腹の内の読めない男だとユアンは思う。
「おはよう、ナジム。 おかげさまですっかり慣れてきたわ。 ウラール族の人達は気のいい人ばかりね」
これは嫌味ではなく本心だ。
ナジムを別とすれば、ウラールの人々は明るくさっぱりとした親切な人ばかりだった。
ユアンのような他部族から来た人間もすんなり仲間として受け入れてくれる。
「それは良かった。 では、第一后妃としての務めも近いうちには果たしてくれると期待していていいでしょうか?」
ナジムは知っているのだ。バラクとユアンが本当の意味では夫婦となっていないことを。
「それとこれとは別問題ですっ」
期待通りのユアンの反応に、ナジムはクスクスと笑った。
「ねぇ、ナジム。 一つ、聞いていいかしら?」
涼しげな顔立ちのすらりとした男と目が合った。 寝起きなのか軽装で、薄茶色の長い髪は後ろで一つにまとめている。
バラクの腹心のナジムだ。
ナジムはにこやかな微笑を浮かべて、ユアンに声をかけた。
「おはよう、ユアン。 こちらでの生活は慣れましたか?」
敬語を使ってはいるけど、ユアンに対する敬意などは全く感じない。
むしろ嫌われているような気さえする。
バラク以上に腹の内の読めない男だとユアンは思う。
「おはよう、ナジム。 おかげさまですっかり慣れてきたわ。 ウラール族の人達は気のいい人ばかりね」
これは嫌味ではなく本心だ。
ナジムを別とすれば、ウラールの人々は明るくさっぱりとした親切な人ばかりだった。
ユアンのような他部族から来た人間もすんなり仲間として受け入れてくれる。
「それは良かった。 では、第一后妃としての務めも近いうちには果たしてくれると期待していていいでしょうか?」
ナジムは知っているのだ。バラクとユアンが本当の意味では夫婦となっていないことを。
「それとこれとは別問題ですっ」
期待通りのユアンの反応に、ナジムはクスクスと笑った。
「ねぇ、ナジム。 一つ、聞いていいかしら?」