イレカワリ～番外編～
☆☆☆-海side-

自転車をこいで家まで帰りながら、俺は歩の様子を伺っていた。


さっきからすこし話し方がぎこちなくて、笑顔も無理をしているように感じられた。


それは俺が転校生について質問した時から持っていた違和感だった。


歩には言わなかったが、俺は転校生が女の子だと言う事を噂で聞いていた。


しかも、すごく可愛い子だと。


歩がそれを正直に言わない理由はすぐにピンときた。


歩はきっと、その転校生に一目ぼれをしたのだ。


俺は心の中でニヤついた。


ようやくお前にも好きな女ができたのか。


そう言ってじゃれ合いたい気分で一杯だった。


だけど歩は俺にその事実を隠そうとしている。


双子の俺を誤魔化す事なんて、できるワケがないのに。


でも、それならそれでいい。


好きな女ができたなんて、そう簡単に言えない気持ちも理解できる。


歩がいつか薄情する時が来たら、その時に思いっきりからかってやろう。


そう、思ったのだった。
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