イレカワリ~番外編~
☆☆☆

翌日、俺は重たい体を無理やり起こして制服に着替えた。


昨日と同じように海が早い時間から出て行く音が聞こえて来る。


その音を聞いて俺はため息を吐き出した。


相変わらず俺と会話をしてくれる気はないようだ。


いつまでこんな関係が続くのかわからないくて、胸の中のモヤはどんどん膨れ上がって行く。


ダラダラと着替えをしてキッチンへ向かうと、すでに朝ご飯は出来上がっていた。


「歩、おはよう」


「……おはよう」


いつも元気のいいお母さんと目を合わせることなく、椅子に座る。


「最近海は忙しいのか?」


お父さんにそう聞かれて、「たぶん、ね」と、返事をする。


本当の事なんて言えなかった。


「そうか。沙耶ちゃんの様子はどうなんだ?」


海がいないからだろう、お父さんは俺に対してそう聞いて来た。


「あまりよくないらしい」


俺はこの前沙耶に聞いたことを思い出していた。


来年まで生きられる確率は半分以下なのだと、沙耶は声を上げて泣きながら言った。


俺は下唇を噛みしめた。


沙耶に残されている時間は少ない。


俺と海は喧嘩をしている場合なんかじゃないんだ。
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