小悪魔な彼にこっそり狙われています
その日から私は、来栖くんと距離を置くようになった。
もともとオフィスは違うから、話すことはあまりない。
そんな中でも更に、自分は極力秘書課に行かないようにしたし、来栖くんが総務課に来た時は忙しいフリで無視をした。
行きあってしまわないように犬カフェに行くこともやめた。
彼との接点をなくして、全てを元に戻すだけ。
来栖くんと初めて過ごした、あの夜をなかったことにするだけ。
1ヶ月足らずの短い夢だった。年下の子に言い寄られた、ちょっと気分のいい夢を見ただけ。
そう、諦めてしまえばラクになる。
……なのに。
来栖くんからもらったストラップひとつも、捨てられない。
見る度、彼の笑顔を思い出して胸が苦しいのに、それでも大切だと思うなんて。