小悪魔な彼にこっそり狙われています
「だから、アタックするなら今度の社員納涼会が最後のチャンスだって、一部の女子が気合い入れてるらしいよ」
「確かに……普段はそっけないけど、飲んでる時なら聞きやすいかも!」
きゃっきゃっとはしゃぎながらレジへ向かう彼女たちの会話に、そっか、と納得に近い気持ちを感じた。
そうだよね、来栖くんモテるし……彼がいなくなってしまうとなれば、最後のチャンスだと張り切る人もいるわけだ。
……そんな中で、彼は誰かに出会って、誰かの手を取るのだろうか。
私にしてみせたように、無愛想な中に愛情や熱を見せて、時に微笑んでみせるのだろうか。
想像すると、また胸が痛む。
苦しくて、泣きたくて、ポケットの中のスマートフォンにつけたままのストラップをぎゅっと握った。
私には、関係ないこと。
そう言い聞かせても、ムダなのに。