小悪魔な彼にこっそり狙われています



考えているうちにビンゴは始まり、読み上げられる番号に私もひとつ、またひとつとビンゴカードに穴を開ける。



けどなかなか順調にはいかないんだよね……私はあんまりビンゴの運はよくないほうだ。

そんな私の隣では、彼が順調にビンゴカードを開けていく。



「順調ですね、すごい」

「うん、俺わりとビンゴになるの早いほうでさ」



彼はそう笑いながら、手元のカードから私の顔へ視線を向けた。



「井上さんって、今彼氏とかいる?」

「え?あ……いません、けど」

「じゃあ、俺と賭けしない?」



賭け……?

突然のその話に、私は首を傾げる。けれど、その顔は笑みを浮かべたまま。



「俺が先にビンゴになったら、俺と付き合ってよ」

「え……?」



言葉の意味を問うように目を丸くすると、彼はもうすぐリーチになりそうなビンゴカードを見せた。



「前から井上さんのこと気になってたんだ。だから、俺にチャンスくれない?」



そんな、賭けで始まる恋愛なんて……そう否定しかけて、ふと思う。

そういう始まりも、なくはないかもしれない、と。



なんの意識もしていなかった相手と、ベッドから恋があるくらいだ。どんなきっかけで恋が始まり、本気になっていくかなんて分からない。

むしろ、こうやって次の恋に進むことが、来栖くんとのことを忘れるいいきっかけになるかもしれない。



……けど。

こんな時まで頭に浮かぶのは、来栖くんのことばかり。



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