小悪魔な彼にこっそり狙われています



それは彼女の耳にも入ったのだろう。そして彼女なりの対策を考えたのだと思う。

そのうち隣のオフィスからは度々彼女の怒った声が聞こえるようになった。



厳しさを見せるようになった澪さんに、周りは驚き、怯み、バカにすることはなくなった。

けれどその代わり今度は、『厳しい人』『怖い人』と、彼女を避け始めるようになった。



なんというか不器用な人だと思ったけれど、それでも俺はただの傍観者のままで。

それが変わったのは、今年の年明けすぐ、1月のある日のことだった。





その日、仕事を終え帰ろうかとしていたところで親からかかってきた電話に、俺は周囲の声を避けるように、ひと気のない非常階段のほうへと向かった。


電話の内容自体は、なんてことないもの。

話を聞きながら、暇をつぶす様になんとなく足は12階へ向かい、通話を終えたところで下へ降りようとした。


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