小悪魔な彼にこっそり狙われています



……が、それも本当にすっかり忘れられているとは思わなかったけれど。



翌朝目を覚ますと、時刻は始業時刻だし、澪さんはいないし、気を遣わせたのかホテル代と思わしき1万円札が置かれているし……。

彼女といきあっても逃げられ、おまけに記憶がないと言われ。

さらにそこから1ヶ月近くかけて何度も何度も伝えるほど、なかなか想いは伝わらなかったけれど。



その甲斐あってか、今は幸せだ。

付き合ってからも愛しさは変わることなく、いや寧ろいっそう愛しくてたまらない。前以上にかわいく思えることも増え、時折仕事中も抱きしめたくなるほどだ。

……そんなことしたら怒られるだろうから必死に抑えてはいるけど。



「くっるすくーん、元気ー?」



仕事中、ひとりそんな思い出に浸りながら廊下を歩いていると、突然背後から肩を抱かれた。

その軽やかな声と、俺にそんな絡み方をする人、というだけでそれが誰かなど顔を見なくてもわかる。



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