小悪魔な彼にこっそり狙われています
『さっきも言いましたけど、俺は、井上さんにだから優しくするんです』
『え……?』
『井上さんのことが好きだから、優しくもするし、甘やかす。だから、俺には甘えてくれませんか』
涙を、隠さないでほしい。
笑みもいくらでもこぼしてほしい。
なんだって受け止めるから、見せてほしい。
強がらずに、ひとりで抱えずに、俺にはわけてほしいんだ。
その想いを伝えるように、もう一度唇を重ねる。
拒まれるかも、そう一瞬よぎった不安を拭うように応える唇と、背中に回される腕。
それらに理性は吹き飛んで、ただ本能のまま手を伸ばした。
キスをしながら服を脱がせ、見えた素肌に舌を這わせた。浮き出た鎖骨を舐めると漏れたその甘い声に、いっそう欲情した心は止められなくて、体を重ねた。
強く想うのは、あなたがほしい。それひとつ。
『あっ、くるすく……んっ、』
ビク、と全身で感じる彼女に、視界を俺で埋めるように顔を近づける。
『……井上さん、今は俺のことだけ見てください』
あとであなたが今日のことを、『一夜の過ち』と呼んでも構わないから。
この感触を、体の奥に焼き付けて。俺自身を、覚えて。
今、この瞬間だけでいいから。