小悪魔な彼にこっそり狙われています



「あなたに任せた仕事は、あなたの仕事なの!出来る場合も無理だと判断した場合も、もっときちんと責任を持ってくれる?」

「本当に、ごめんなさい……すみません……」

「あなたねぇ、いつもそうやってすみませんすみませんって言って……」



呆れたようにため息をつきながら言うと、いつもはこらえる彼女も今日はこらえ切れなかったのだろう。ポロ、ポロッと涙をこぼした。

それにはさすがの私もギョッとしてしまい、それと同時にオフィス内の社員たちもすぐさま止めに入る。



「ま、まぁまぁ井上さん!本人も反省してますしお説教はこの辺にして!ね!」

「そうですよ、あんまり言ったら町田さんも可哀想だって」



女性社員はそう町田さんの肩を抱いて慰め、男性社員は『さすがに泣かせなくても』と軽蔑するような目を私に向けた。



「つーか井上さんいつも怖いんですよ。若い子相手なんだからもっと優しく言ってあげてくださいよ」

「なっ……!」



いつも怖い、なんてはっきり言うことないじゃない!

事実かもしれないけど、さすがにそうバッサリと言われるとつい売り言葉に買い言葉で『悪かったわね!』と反論しそうになる。



けれど、自分以外の全員が町田さんの味方で、向けられた視線は私を責めるようだ。

その視線たちにぐっと言葉を詰まらせると、そのタイミングでオフィスのドアがコンコンと鳴って開いた。


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