小悪魔な彼にこっそり狙われています



「俺自宅の最寄り駅大井町なんですけど。電車降りたら偶然、浮かれた足取りで歩いてる井上さん見かけたんで」



って、駅から見られていた!

早く犬たちに会いたい一心がだだ漏れだったのだろう。そんな自分を見られたことが恥ずかしくて、穴があったら入りたい。



「……で?黙ってついてきたわけ」

「そうですね。どうせ今日も犬相手に顔緩めるんだろうなーと思ってついてきました」

「って、前から知ってたの!?」



まさかのそこまでバレてた!!

ついまた大きくなる声に、女性店員がうるさそうに顔をしかめてこちらを見る。その視線にまた口を塞いで誤魔化した。



「何度か見かけてるんで。でも最初は驚きましたよ。いつも怖い顔してる井上さんが、犬相手にデレデレしてるんですから」

「うっ……わ、悪かったわね、犬しか楽しみのない痛い女で」

「痛い?さっきも言ったじゃないですか、かわいいですよ」



『かわいい』、と言われ慣れていないそのひと言に、つい心臓はドキッと跳ねる。


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