小悪魔な彼にこっそり狙われています



「別に井上さんだけが悪いと思ってるんじゃないんです。けど俺は、周りに井上さんを誤解してほしくないと思ってます」

「え……?」

「言葉に出せなくても文字で伝えてくれる、不器用だけど優しさのある人だって、知ってほしいです」



そう言いながら、彼がスーツのポケットから取り出し見せたのは私がデスクに置いたハンカチ。

『ごめんなさい』のメモも見てくれたのだろう。来栖くんは、かわいげのない私の行動を、不器用な優しさとして受け入れてくれたのだと思う。



『あの人もあの人ですけど、井上さんももっと優しく言ってみたらどうですか』



昼間のあの言葉も、私のためを思っての言葉だったの?

私がこれ以上誤解されないために。私が、伝えたいことをきちんと伝えられるように。



私のために、教えてくれた。



「……ひとつだけ、相談してもいい?」

「どうぞ」



そんな彼になら、勇気を出して聞いてみよう。

情けない問いかけだけど、少しでも変わるために。



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