小悪魔な彼にこっそり狙われています
「井上さん!!」
ところがその瞬間、下の段差をのぼっていた来栖くんは腕を伸ばし、落ちる私を受け止めた。
突然私の全体重がかかった彼は、バランスを失い、ドダダダッ……とそのまま一緒に階段の踊り場へと落ちてしまう。
「っ……いたた……」
ぶつけた足に痛みを感じながら、そっと目を開く。
するとそこには、手から離された書類が散らかる中、私の体を守るようにしっかりと抱きしめる来栖くんがいた。
「井上さん……大丈夫、ですか」
「う、うん……って、私より来栖くんでしょ!大丈夫!?怪我は!?」
私を庇い背中から落ちたのだろう、痛そうに歪むその顔からよほど勢いよくいってしまったのだと思う。
けれどこんな状況でも自分のことよりこちらを気にかける来栖くんに、私は慌てて体を起こすと彼の上から退いた。
「俺は大丈夫です……あれ」
こちらの心配もお構いなしに来栖くんはすぐ普通の顔を見せて体を起こす。が、なにか違和感を感じたように自分の足を見た。