小悪魔な彼にこっそり狙われています
「……この前井上さんが話してくれた、元カレのことなんですけど。実は、ちょっと知ってました」
「え……?」
元カレの話を、知っていた……?
誰かに話した記憶もない。けど、どうして彼が知っているの?
不思議に思いキョトンと首を傾げてしまう。
「半年くらい前、仕事終わりにたまたま親から来た電話に出て、俺12階の非常階段にいたんですけど」
「半年前の、仕事終わり……あ、それって」
それらのキーワードから話の先を予測した私に、来栖くんも頷く。
「その時にちょうど11階の非常階段のところで井上さんが電話してるの見かけて、まぁ、たまたま立ち聞きしちゃったんですけど」
やっぱり聞かれていたんだ。
極力ひと気がないところで電話をしたつもりだったけど、そのタイミングで来栖くんもそこにいたとは……。