小悪魔な彼にこっそり狙われています
今朝、あんなに無神経な言葉を発した私を、彼は今こんなにまっすぐ見つめてくれている。
そのこころに、また胸は動かされて、髪を拭く来栖くんの手に手を添えた。
彼の骨っぽい大きな手をぎゅっと握ると、夏だというのに相変わらず少し冷たい彼の体温を感じる。
「……謝り、たくて」
静かな部屋に響いた私の小さな声に、彼はその真意を問うように言葉の続きを待つ。
「今朝は、ごめんなさい。……卑屈になって、来栖くんの気持ちを否定するような言い方をした」
卑屈、嫉妬、それらの気持ちを理由に、その想いを踏みにじるような言い方をした。そんな私だけど。
嫌いに、ならないでほしい。
「こんなにもかわいげなくて、呆れさせたかもしれないけど……本当に、ごめんなさい」
きっと今、私は不安でいっぱいな顔をしてるかもしれない。
伝わるかな、許してもらえるだろうか、そんな余裕のない顔。
だけど来栖くんはそんな私に対して、穏やかに目を細め、タオルから手を離すと、重ねていた私の手をぎゅっと握った。