腹黒御曹司がイジワルです
「そ、れじゃあ、モテたい人って誰なのよ?」
そんな単純な疑問を投げかけたことを後悔するまでに、三秒とかからなかった。
「我妻だって言ったら、どうする?」
「私?」
彼の言葉に驚きすぎて息が止まりそうだった。
でも、冗談でしょ?
「そう、私」
背の高い彼が私の顔を覗き込み、塗り直したばかりのグロスに人差し指で触れる。
「この唇、誘ってる?」
「なに言ってるの!」
慌てて顔をそむけたけれど、顔が真っ赤に染まっている自信がある。
「わ、わ、私、彼氏いるの」
「知ってる。さっき会っただろ。でも、完全に油断してたな。まさか男がいるなんて」
宮城君、どうしたの? いつもと全然違う。
彼の豹変ぶりに頭の中が混乱する。
「そう、いるの。だから、行くね」
とにかくここから逃げ出したくて足を一歩踏み出すと、がっちりと手首をつかまれてしまった。