憂鬱な午後にはラブロマンスを
玄関から出て行くと社員の好奇の目から逃れられやっと落ち着けると思ったものの、そこには外の空気を吸いに出ていた洋介と鉢合わせをしてしまう。
珠子と俊夫が並んで歩く姿を見て洋介はかなり動揺しているのが分かる。
洋介の表情は暗く眉間にしわをよせた顔を見るのは珠子はこれで何度目なのだろうと思って洋介の顔を見ていた。
珠子は不安な日々を送る必要のない生活を俊夫が約束してくれたのだから、これで良かったのだと洋介の顔を見ながら何度も自分を納得させていた。
私はもう大丈夫。洋介のことを思い悩む日から解放されるのだから。
もう私は苦しまなくてもいいのだから。
洋介を愛していても辛いばかり。だけど、これからは社長が私を愛してくれる。そして悲しみの日から解放してくれる。
珠子は何度も何度も自分に言い聞かせた。
だけど、洋介の顔を見ると俊夫に身を委ねようとする自分の決意がグラついてしまいそうだった。
「俊夫さん、行きましょう。」
珠子は俊夫と結婚することを決めた以上、洋介のことは諦めるのだと自分に言い聞かせた。
ここで洋介の顔を見てから何度自分に言い聞かせただろう。
大丈夫。大丈夫。私は幸せになれる。私には洋介は必要ない・・・・のだから、と。
そんな事を何度も自分に言い聞かせても苦しくて苦しくて珠子は息が出来ない程に苦しかった。