憂鬱な午後にはラブロマンスを
「どこへ行くんですか、社長?」
「今から珠子と二人でお祝いを兼ねた食事をするんだよ。そうだ。元夫の君には報告しなければいけないね。」
「報告?」
洋介は珠子を見るが俯いた珠子の表情は読み取れない。しかも、俊夫の背中に隠れる様に珠子は立ち位置を変えた。
洋介は珠子に近づくと珠子の腕を掴もうとした。
「珠子と結婚することになったからそのつもりでいてくれ。」
俊夫の言葉に珠子に近付こうとした洋介の動きが止まった。そして、時間が止まったかの様に洋介の表情も止まってしまった。
「・・・おめでとうございます」
社長の結婚すると言うセリフに反応して出た言葉だった。
そんな言葉を言うつもりはなかったが、社長相手に無視できず無意識のうちに口に出していた。
そんな洋介のお祝いの言葉に珠子は顔を上げることが出来なかった。
珠子は洋介の沈んだ声に顔を上げることなど出来る訳がなかった。
「ありがとう。結婚式には君も営業部長として出席して欲しい。それに、元夫が出席することで二人が円満離婚したと印象付けて欲しいんだ。」
「円満離婚ですか?」
俊夫が残酷なことを言っているのは本人も承知の上だった。
珠子がどんな反応を見せてくれるのか俊夫は試すつもりでもわざとそんなセリフを言ってみた。