キミと初恋、はじめます。
「では失礼します。ほら翔空、行くぞ」
「えー、俺サボりた……」
「ざけんな」
「………………」
祐介くん、若干お怒りモードらしいです。
顔が怖い!
なっちゃんどうにかして!
ズルズルと翔空を引っ張り、理事長室をでて騒がしい廊下へと足を進めていく。
「あと5分しかねぇ。おい翔空、電話くらい出ろよ!」
「えー、スマホ鞄の中だし気づかないよ。祐介、わかったから離せって」
祐介くんが不服そうに手を離すと、翔空は真っ先にあたしに抱きついてきた。
「シキー、可愛い格好してるね」
「っ……ほ、ほんと?」
「うん、すごく似合ってるー」
少し照れくさくなって顔を俯けると、それを見ていたなっちゃんが苦笑い。
「あんた達って身長差ありすぎて、最早大人と子供……親子みたいになってるわよね」
「ええっ!?」
「ちょ、夏、それはひどいよ」
「おまえら、どうでもいいけど早くしろ!開店時間に合わなくなるからな!?」
わーわーと騒ぎ始めたあたし達に、祐介くんの叱責が飛んでくる。
うぅ……。
でも確かに開店時間までもう5分もない。
急がないと!