キミと初恋、はじめます。


「では失礼します。ほら翔空、行くぞ」


「えー、俺サボりた……」


「ざけんな」


「………………」



祐介くん、若干お怒りモードらしいです。


顔が怖い!

なっちゃんどうにかして!



ズルズルと翔空を引っ張り、理事長室をでて騒がしい廊下へと足を進めていく。



「あと5分しかねぇ。おい翔空、電話くらい出ろよ!」


「えー、スマホ鞄の中だし気づかないよ。祐介、わかったから離せって」



祐介くんが不服そうに手を離すと、翔空は真っ先にあたしに抱きついてきた。



「シキー、可愛い格好してるね」


「っ……ほ、ほんと?」


「うん、すごく似合ってるー」



少し照れくさくなって顔を俯けると、それを見ていたなっちゃんが苦笑い。



「あんた達って身長差ありすぎて、最早大人と子供……親子みたいになってるわよね」


「ええっ!?」


「ちょ、夏、それはひどいよ」


「おまえら、どうでもいいけど早くしろ!開店時間に合わなくなるからな!?」



わーわーと騒ぎ始めたあたし達に、祐介くんの叱責が飛んでくる。


うぅ……。

でも確かに開店時間までもう5分もない。


急がないと!
< 205 / 418 >

この作品をシェア

pagetop