キミと初恋、はじめます。
◇
「華沢ちゃん!3番席オーダー取って来て!」
「は、はいっ」
「いらっしゃいませー!……え?あ、うちのお姫さまですか?はい、いますよ!詩姫ちゃん、お客さんー!」
「しょ、少々お待ち下さいっ」
開店から早くも3時間。
12時を過ぎた今、忙しさはピークに達していた。
廊下には長蛇の列でお客さんが並び、次から次へと入って来る仕事にみんな走り回っていた。
「ね、キミ可愛いねっ」
「俺らと連絡先交換しない?」
若い男の人……大学生くらいだろうか。
オーダーを取ってる最中、そんな事を言われあたしはぺこりと頭を下げる。
「申し訳ありません。プライベートはちょっと……」
「そんな事言わずにさっ」
し、しつこい……!
さっきまでのこういうナンパは、全てなっちゃんが回避してくれていたのだけど。
今さっき、陸部の方へと準備に出ていってしまった。