キミと初恋、はじめます。
まるで、あたしがいなくなりそうで怖いって言っているようで。
キュッと締め付けられた胸に、ツンッと喉の奥が熱くなる。
「シキ」
催促するようにあたしの名前を呼んだ翔空に、覚悟を決めてゆっくりと顔を近づける。
本当に、何でこんなに整った顔してるんだろう。
そんな事を頭の片隅で思いながら、翔空の唇に自分の唇を重ねた。
ドッドッドッとなる心臓を抑えて、ゆっくりと顔を離す。
「っ……ごめん」
バッと顔を背けた翔空の耳は真っ赤で。
自分から言ってきたくせに!と、さらにあたしの顔が赤くなる。
一体、どこの誰が、こんなに学園の王子さまの翔空が照れ屋だと知るんだろうか。
あたしよりもずっとピュアな気がする。
「……少し寂しかっただけ」
「え?」
予想もしていなかった言葉が、翔空の口から飛び出し、思わず耳を疑った。
寂しかった?