キミと初恋、はじめます。


「んー、俺のもんって、印でも……つけとく?」


「っ……な、なにを」



突然、妖艶な目をした翔空が、立ち上がってあたしをグイッと抱き寄せた。


かと思うと、机に押し倒される。

やんわりと拘束された手。


あたしを見下ろす翔空に、急激に鼓動が高鳴っていく。


と、翔空がわからない……

のんびりしていると思えば凛々しくて。


凛々しかったと思えば、どこかか弱くなって。


今度はなに!?



「…っ……ひゃ…っ」



あたしの首筋に顔を埋めた翔空の唇が、微かに肌を撫でた。



「翔空……!」


「ねえ、シキー?」


「…っ……」



顔を埋めたまま、翔空が口を開くものだから吐息が首筋をくすぐって、ビクッと身体が揺れた。


これは、一体どういう状況なの?

冷静に考えたら、さっきの大学生に腕を掴まれた時よりも危険なんじゃ!?


……いや、でも相手は翔空だし……



そんな事を頭の中でぐるぐると考えていると、翔空が埋めていた顔をあげ、目を細めてあたしを見下ろした。



「俺だって、男だよ…?」


そう言った翔空の瞳は、どこまでも妖しく光っていて。


あたしはコクリと息を呑んだ。
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