キミと初恋、はじめます。


────…甘い。


翔空とのキスは、何度しても……ただただ甘い。


翔空の香りをこんなに近くで感じて、想いとか考えてる事とか、この瞬間が1番わかるような気がするんだ。


それでも翔空は、絶対に、あたしが嫌がる事はしない。


それだけは確信を持って言える。


誰よりも何よりも優しい。


それが翔空の一番の〝素〟の部分だって、あたしは知ってる。



「……はぁ……っ」


長めのキスが終わり、翔空の顔がゆっくりと離れていく。


入ってきた空気に、少し息を荒くしながら、あたしは翔空に向かって笑みを零した。



「翔空は、翔空でしょ?」


「……え?」


「あたしは翔空に何をされても構わない」


「…そんな事簡単に言っちゃ…」


「ダメだって?でも翔空は、あたしの心なんて手に取るようにわかっちゃうでしょ。今の言葉が本心かそうじゃないかくらい、わかってるはずだよ」



……翔空はあたしの心をすぐに読める。


それは、誰よりも何よりも、あたしを見ていてくれているからなんだよ。


あたしを見下ろす翔空に、まっすぐと見つめ返す。



「……んー、どうかなー」


フッとあたしから離れた翔空が、あたしに背を向けた。
< 217 / 418 >

この作品をシェア

pagetop