キミと初恋、はじめます。
「シキちゃん、すぐ赤くなる。かわいー」
「なっ!?そ、そんなことない!」
思わず言い返すと、翔空は面白そうに肩を揺らして歩き出した。
釣られるように、手を引かれながら柱の隠れ家を出る。
「ここに人が来たの初めてだよ」
「えっそうなの?」
「うん、静かで良い所なのに誰も知らないんだからびっくりするよね。俺はよくここで、授業サボって寝てるんだー」
「あ……もしかして、翔空のお気に入りの場所だった?邪魔しちゃってごめんね」
少し眉尻を下げて謝ると、翔空はふるふると首をふる。
「シキちゃんがここに来てくれたおかげで、キミに出逢えた。それにこの場所なら、いつでも二人っきりになれる。シキちゃんがもし気に入ったなら、いつでもおいでよ」
俺待ってるからさ、と笑った彼に、あたしは目を泳がせて答える。
「あ、ありがとう。あたしね、静かな場所を探してて、ここに来たの。理事長に勧められて」
あたしの言葉に、翔空は目を見開いた。
え?と首を傾げると、翔空は何故か苦笑い。
「そういうことか。母さん、わかってて言ったな」
「母さん?」
「ん、そう。理事長、俺の母親なんだよねー」
サラッと告げられた衝撃的な言葉に、あたしはポカンと口を開けた。
てことは翔空は、理事長の息子……!?
「びっくりした?」
「びっくりするよ!」
あたしの反応を楽しんでいるのか、翔空はずっと笑っている。
失礼な……と口を尖らせると、翔空はあたしの顔を覗き込んで天使スマイルを見せた。