キミと初恋、はじめます。
◇
「と、翔空?」
「んー?」
「あの、もう手……離してもいいんじゃない?」
帰りの電車の中。
目の前に立つ翔空に、チラリと視線を向けながら言った。
この時間はどうやら空いてるらしく、電車内はところどころに席が空いていて。
1人分空いてる席に、翔空に無理やり座らされたのはいいものの……どうして、こんな時まで手を繋いでいないといけないのか。
「ダメだよー。離したら、シキちゃん逃げていっちゃいそうだし」
「に、逃げないから!」
なんでこんなにマイペースなんだ。
いや、わがままっていうの?
いやいや、離れたがらない寂しがり?
……ううん、きっと全部だ……。