キミと初恋、はじめます。


「な、なんでりんご姫?」


思わず聞き返すと、渋矢くんはニヤニヤしながら翔空を見た。



「翔空が昨日……」


何かを言いかけた渋矢くんを、翔空がこれでもかというほど睨みつける。



「言ったらどうなるかわかってるよね?祐介?」



え、それ脅迫?



「ぶはっ!わかってるって!じゃー、普通にシキちゃんでいっか」



いやいや、良くないよ!

りんご姫の語源はどこから!?


そう思ったものの、タイミング良く鐘がなった。



「あ、鐘……」


「ほらあなた達、鐘なってるよ!早く教室行きなさい!」



南先生に背中を押されて、医務室から飛び出したあたし達は慌てて廊下を駆けだした。


ち、遅刻しちゃう……!



「シキー」

「えっ!?」


背後から呼び止められて、あたしはハッと振り向くと一緒に走っていると思っていた翔空と渋矢くんは、のんびりと歩いていた。
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