DQN女がオトナになるまで。
『しかも谷口ってさ
束縛やばいんだよねー』
「えー!そんな風に見えないです!」
『でしょー?でも全然だよ』
自然と野澤さんは愚痴をこぼしていた。
野澤さんは人との距離の詰め方がうまい。
『ゆっちゃんは束縛とかするー?』
ゆっちゃん呼びするのか、と
内心嬉しいようなやめてほしいような
複雑な気持ちだった。
野澤さんには気づかれないように
自然に会話を続けた。
「んー、あんましないと思いますよ」
『いーなー。そういうのがいいよねー』
野澤さんはときどき、
どういう意味で言ってるんですか?
と聞きたくなるような返しをしてくる。
だけど野澤さんは特に何も考えずに
話している気がして、
あたしも深く考えずに会話をしていた。
野澤さんの彼女の愚痴を聞いたり、
2ヶ月前に別れた彼氏の話をしたり、
他愛もない話を気がつけば
2時間以上もしていた。
眠気が襲ってきたあたしはもう寝ます、
と電話を終わらせようとしていた。
『電話ありがとね』
「あ、電話したってSNSに
書いていいんですか?」