イジワル同期とスイートライフ
「なにもおかしくねえんだけど」

「久住くんもそういうの気にするんだね」

「そりゃするよ、他の奴ならともかく、お前相手だし」

「私、昔の話とか気にしそうな感じ?」



おつまみを漁りながら、どれから飲もうと物色する。



「それ取って」

「ん」



久住くんが私の指差した缶に手を伸ばし、開けてくれた。

自分の分を取ってから、ふてくされた声を出す。



「お前に軽蔑されたら、きつい」



バリアの話を思い出した。

あれは、どこまで本当なんだろう。



「浮気は?」

「してない」

「じゃあ、どんな話を聞いても大丈夫だと思う」

「聞く気だな」

「あそこまで言われたら気になるもん」



ぎゅっと首に缶を押しつけられて、思わず「冷たい」と身を震わせた。

久住くんが、背後のベッドに頭を預けて、ぐったりと天井を見上げる。



「とっととお前とのこと、話しときゃよかった」

「なんだかんだ花香さんに優しいね」



私の指摘に、露骨に嫌そうな顔をした。

そう、あれ以上言われたくなければ久住くんは、私とつきあっていると言えばいいだけだったのだ。

そうしたらさすがの彼女だって、悪口雑言を控える。

それをしなかったのは、私の相手をボロクソに言っていたと知ったら、花香さんが気に病むからだ。

罵り合ってはいても、やっぱり傷つけたくない相手なんだろう。

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