イジワル同期とスイートライフ
「はっ、え? く、久住くんですか?」

「はいー、もう見てればわかります」



弱みを握った気分らしく、くくくと喉を鳴らしながら、マップをテーブルの上に並べていく。



「あの男、すっごい猜疑心強いんで、見た目親しげでも、ばりばりにバリア張ってるんですけど、六条さんには完全にオープンですもん」

「え…」

「六条さん」



急に身を乗り出してきた。

大きな目がきらきらしている。



「は、はい」

「私、あの男のクズエピソードならそこそこ持ってるんで、ご活用ください」



クズエピソードって。

久住くん、なにしたの。



「あの、ちなみにおふたりの出会いって」

「あ、合コンです」



例の、調子に乗っていた時代か。



「なれそめ的な部分に関してもですね、立派なゲスい話が、痛!」



後ろからノートPCでボコンと頭を叩いたのは、戻ってきた久住くんだ。

殺気に近い怒りを発している。



「お前、そういうのは反則だろ…」

「あっ、久住さん、お待ちしてました」

「勝手に対外モード入んな。誰がゲスだ」

「始めてよろしいですか?」



血管が浮き出そうなほどの苛立ちが伝わってきたものの、久住くんはぐっとこらえ、仕事に徹した。





「あいつ、お前に近づくために俺を売る気だ」

「買われたら困る情報でもあるの?」



夜、買ってきた缶ビールをテーブルに並べながら、久住くんがじっと考え込み、難しい顔で「ある」と言ったので、笑ってしまった。

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