イジワル同期とスイートライフ
「クリーニング屋だろ」



うんざりとテーブルに片肘をついて、久住くんが言った。

彼はもう、運営会議には出席していない。

私では収集がつかず、藁をもつかむ思いで電話したら、来てくれたのだ。



「クリーニング?」

「シャツ出してるだろ?」

「うん、何枚か…」

「電話してみろ」



ひっくひっくと震えながら、花香さんが携帯を取り出した。



「…あ、いつもお世話になってます、二丁目の花香なんですが」



涙声でのやりとりを終える頃には、目がまん丸になっていた。



「保管されてるって」

「ほんとですか!」



すごい!

興奮する私とは対照的に、久住くんは冷静だ。



「ほら見ろ」

「なんでわかったの? ポケットに入れた記憶なんてないんだけど」

「入れてんだって、お前。ガムの包みとかペンのキャップとか、とりあえず胸ポケットに入れんの、くせなんだよ」

「私そんなこと、してる?」

「してるよ、おっさんみてえだなと思ってたよ、いつも。手を洗うときにでも外して、無意識に入れたんだろ」



花香さんはまだ呆然として、残った涙を拭っている。



「あんたって、ここぞというときには魅せるクズだよね…」

「いい加減クズから昇格させろ」

「六条さんも、ありがとうございました」

「いえ、私はなにも。言われて思い出したんですが、花香さんがそこから付箋を出したのでびっくりした記憶、ありますね」



もっと早く気づいてあげられればよかった。

久住くんて、なんだかんだ人のことをよく見ているし、覚えている。



「そこにもの入れる女って、あんまり見ないもんな」

「うん、実用のポケットって意識もなかった」

「そうですか? けっこう使いやすくないです?」

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