イジワル同期とスイートライフ
「お疲れ様でした!」



須加さんの声に、スタッフ全員が唱和した。

終わった!


会議もディナーパーティも、大きなトラブルもクレームもなく済んだ。

改善したい部分は多々あったものの、及第点だろう。

ラップアップミーティングでそのあたりは共有して、次回に生かせばいい。

最後のお客様が退場したのを見計らい、すぐに片づけの始まったパーティ会場で、あれ、と顔ぶれを見回した。



「久住さんなら、お客様と一緒に出ていかれましたよ」



須加さんが撤収を監督しながら、教えてくれる。



「そ、そうですか」

「あれ、しらばっくれないんですね」

「え?」

「『久住を探してたわけじゃないです』とか」



面白がるような微笑み。

顔が赤いのを自覚しながら答えた。



「…探してましたんで、実際」

「正直だなあ」



まあ、こんなこともあります。

本人もいないし、へとへとだし、須加さんだし。

落とし物のクリップを拾い上げて、彼がこちらに笑いかける。



「後で一杯どうですか、僕は夜通し撤収作業なんで、息抜きに」

「えっ」



丸テーブルのクロスが次々はがされていくのを見ながら、困った。



「あ、久住さんの許可はいただいてるんで、大丈夫ですよ」

「え…えっ?」



きょ、許可!?

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