イジワル同期とスイートライフ
つまり花香さんの比重が、一番大きいってことだね。

確かに私はMっ気があるのかもしれない。

聞きたくないと思いつつ、情報が欲しくてたまらない。

花香さんとの記憶を探りながら話す久住くんも、けっこういいとか思ってたりして、そのくせ語られることにいちいち、胸を抉られていたりもする。



「憂鬱…」



久住くんが顔を覆って、力なくこぼす。



「そんなに嫌なもの?」

「…嫌だな」

「なんで?」

「なに言われるかわかんねえし、ってお前、やたら掘ってくるな」



早くも二杯目のビールを飲みながら、不審そうに眉をひそめる。

自虐的な心理を見透かされた気がして、一瞬で顔が熱くなった。

思わずそれを手で隠してしまったのがいけなかったらしく、久住くんが目を丸くした。



「…あ、なに、気になる? 俺の昔の話とか…」

「き、気になるっていうか、うん、まあ、それなりに」

「そっか、そういうことか」



どうしてか久住くんまで耳を赤くして、恥ずかしそうに前髪をかき上げる。



「どういうことだと思ってたの」

「単に、面白がってんのかなとか」

「面白くなんかないよ、全然」



つい本音で反論してから、はっとした。

これ、妬いてますって言ったも同然なんじゃないの。

ますます血が上ってきて、恥ずかしすぎてうつむく。

久住くんは困惑顔で、そんな私を上から下まで観察した。



「なんでそんな真っ赤なんだよ」

「久住くんだって、けっこう赤いよ」



こぢんまりとしたカウンター席は、肩が触れるほど近い。

お互い、けん制するように相手をじろじろ見るうち、吸い寄せられるように顔を寄せ合って、一瞬のキスをした。

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