イジワル同期とスイートライフ
「なんでって、引っ越し準備が終わったからだろ」

「でも、そんな、いきなり」

「来ていいかって訊いたし、お前も返事くれたろ!」



ええっ!?

覚えてない。

テーブルに置いていた携帯を、慌てて確認する。

確かに久住くんは、連絡をくれていた。



【終わった、今から行っていい?】



そして私は、ほぼ即座に返信していた。



【来て】



全然記憶にない。

半分寝ながら打ったんだ。

うん、とかいいよ、とかでもなく、【来て】ってなにこれ。


じわじわと顔に血が上ってくるのがわかる。

そして久住くんも妙だと思ったんだろう、さらに返事をくれていた。



【どした?】



私は力尽きたらしく、返信なし。

今が0時すぎで、これらのやりとりは2時間ほど前だ。

赤くなりつつ、嫌な汗を流す私を、久住くんがじろっと見る。



「待っててくれてるもんと思って来てみたら、ガン寝だし」

「ご、ご、ごめん」

「それから、ひとりの時はチェーンかけろ」

「…はい」



そうだ、久住くんと暮らすようになってから、かけるくせが消えていた。

床に座り込んだまま、いろいろと反省したいことが頭の中を駆け巡る。

【来て】って、【来て】って…なんてことしてくれるのよ私…。

本心だった自覚があるだけに、恥ずかしすぎて消えてしまいたい。



「さっき、すげえ音したけど、大丈夫?」

「たぶん…」

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