今、2つの色で


「凛夏」


もうひとつの声が、あたしを呼んだ。


あたしがその先を見ると、駿があたしのほうを見ていて。


その声だけで、ただあたしを呼んでいた。


「…逢坂ごめんね、駿に話すことがあるから」


あたしはそう言って逢坂のそばから離れると、荷物を持って駿と一緒に教室を出た。


あたしと駿を見る、逢坂の視線が。


なんとなく背中に刺さって、少し…痛かった。

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