愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「おかえりなさい。」

「ただいま。」

私は必死で作り笑いを浮かべてるっていうのに、瑠威は、私の方を一瞥しただけで、すたすたと部屋へ向かった。
部屋着に着替えて来た瑠威は、そのまま無言で席に着いた。



「今日は、カレーよ。
今日の夕飯は、全部、望結が作ってくれたのよ。
おいしそうでしょ。」

ママもかなり気を遣ってくれてる。
でも、瑠威は難しい顔をして無言で座ってる。
まずいなぁ…思ってたよりもずいぶん怒ってるみたい。



「じゃあ、いただきましょうか。」

「……いただきます。」

気まずい雰囲気…
いつもなら、他愛ない会話が自然に飛び交うのに、今日は誰も話さない。
物音がやけに大きく感じられるよ…
どうしよう…ママは瑠威に謝りなさいって言ってたけど、いつどんな風に言えば良いのかわからない。



「望結……瑠威になにか言うことがあったんじゃないの?」

「えっ!?」

そうだよね…言わなきゃ…
昨夜のこと、謝らなきゃね…



「あ…あのね……
えっと…その…だから……
昨夜は、心配かけてごめんね!」

焦って、しどろもどろになってしまったけど、私はなんとか謝ることが出来た。
すると、瑠威は一瞬、食べる動作を止めて、私のことを厳しい視線でみつめた。
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