愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「な、なんで!?」

キラさん達にドリンクとフードを渡して、私達は一番後ろの芝生席に移動した。
もうじきライブが始まるし、前の方では話なんて出来ないから。
私達が移動してすぐに最初のバンドが出て来て…そこで、私は思ってもみないことをさゆみから聞かされた。



「あんた、CLOWNのファンから妬まれてるんだよ。」



私は、ただびっくりするしかなかった。



「なんて顔してんのよ。
あんた、本当に気付いてなかったの?」

「だって…恨まれるって…私、何かした?」

「はぁ~~?」

さゆみは、呆れたような顔をして、私をみつめた。



「あんたって子はまったく…
良く思い出してごらんよ。
あんた、打ち上げで、リクに『ヅラ子』って親し気に呼ばれたよね?」

「親し気?
あれってただの意地悪じゃないの?」

「意地悪なんかじゃないよ。
リクの目つきは優しかったし、なんかこう…好きな子をからかうみたいな…
私も内心ちょっとだけジェラシー感じちゃったもん。」

「えーーーーっ!!」



信じられない。
そんなことで、さゆみまでがジェラシー感じるなんて…



「その上、あんた…リクにCDただでもらったじゃない。」

「え…そ、そりゃあそうだけど…」



なんだろう?さゆみの視線が冷たいよ。
もしかして、さゆみ…内心、私のこと、怒ってたの?

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