人間嫌いの小説家の嘘と本当
左目に血が入り込んだのか、真っ赤に染まる視界。
その中に、ぼんやりと左頬に深く刻まれた傷跡が映る。
この傷どこかで――思い出した、あの日だ。
初めて侑李と会った、あの夜。
酔っぱらって、今までハッキリとは思い出せなかったけれど、あの日確かに私はこの男に会っている。
だとすれば、この男がいう“アイツ”は紛れも無く「侑李」だ。
侑李が危ない。この事を知らせなきゃ――。
「ゆう、り――」