人間嫌いの小説家の嘘と本当
『どうしたんだ、お前。迷子か?』
え?私、どうして――。
いつの間にか私は森の中にいた。
手も小さく……背が縮んだ?
否、子供に戻ったと言えばいいのかもしれない。
『ねぇ、大丈夫?』
声を掛けてきた少年は、何も言わない私を不思議がり首を傾げる。
月明かりを背にしているせいか、彼の顔は見えない。
あれ?私なんで――ここ、どこ?怖い……ママ?パパ、何処にいるの?
体だけじゃなく心まで子供に戻ってしまったようで、言い知れない恐怖が私を包み、涙が次から次へと零れ落ちた。
『困ったな。キャンプ場から来たのかな』
泣いているだけで何も言わない私に、独り言のように呟く。
暫く思案したのち『行こう』と私に手を差し出してきた。
誰とも分からない少年に、不思議と不安は感じない。
むしろ何故か安心する気がした。
そして彼の手を握った瞬間、目が覚めた――。