人間嫌いの小説家の嘘と本当

正直、侑李との子供は半分諦めていた。
といもの、侑李はアルビノという特殊な疾患を患っている。

蓮見さんからも、子供が出来るかどうかも分からないと言われていた。

だから「おめでとうございます」と言われた瞬間、天に感謝し飛び跳ねてしまう程に嬉しかったのだ。



「向こうで待ってるね」

「あぁ」



ゆっくり離れた温もりに少し寂しさを感じつつ、私は背を向け歩き出した。
櫻井さんに侑李のことを頼むと、私はタクシーで一足先に会場へ向かう。

新婦と言うのは、準備にも時間が掛るらしく髪やドレスの着付けなど大変だ。
しかも妊婦と言うことが分かり、更に予定が変更を余儀なくされることに。

けれど経験豊富なスタッフたちのお掛けで慌てることなく、必要最低限の変更だけで済んだ。

幸い、私は初期の妊婦だけにドレスのサイズ変更は無かったけれど、さすがに靴だけはハイヒールからローヒールに変更。

悪阻など体調を見ながら式を挙げられるよう、式に係わるスタッフたちがサポートしてくれると思うと、それだけでも心強い。

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