短編集『芸術家、ボコられる。』

ヤクザにすりよる。(2)

斎藤は、ヤクザを見つけました。

斎藤「あ、ヤクザ屋さんや、おへんか。」

ヤクザ「なんだ、てめぇ」

斎藤「あたし、斎藤いいます」

ヤクザ「誰やねん」

斎藤「斎藤」

ヤクザ「名前は分かったわ、何の用や言うてんねん」

斎藤「ヤクザ屋さん、のど、渇きまへんか?」

ヤクザ「そら、渇いたわ」

斎藤「ほな、ジュース、買って差し上げまひょか?」

ヤクザ「あ?」

斎藤「あ堪忍。ビールの方が良かったかな~~」

ヤクザ「なんでや。」

斎藤「大人の飲みもんでっしゃろ、ビール」

ヤクザ「んなこと聞いとらへんっ。わしが聞いてんのはなぁ、何でおぬしがわしに、ビール奢ろうしちょるかいうことじゃき!」

斎藤「まあまあ、そんなカリカリなさらんと~。ここ、カリフォルニアちゃいまっせ。日本でっせ?」

ヤクザ「何をしょうもないこと言うとんねん。」

斎藤「フゴフゴ」

ヤクザは、斎藤の口を掴んだ。

ヤクザ「目的はなんや。ん?言うてみんか、コラァ!」

ヤクザは、斎藤の口を荒々しく離した。

斎藤「ぷはぁっ。ヒーーっ、あぁもう怖、ヒーーっ、あぁもう怖」

ヤクザ「目的言うてみんか、コラァ!」

斎藤「そない大きな声出したら、鼓膜破れますやんかー、堪忍♪」

ヤクザ「目的を言えよ、ん、敵討ちか?」

斎藤「そんな、敵討ちだやなんて、滅相もない。わたくしは~~、ただ、単純にぃ、強そうな人が好きなんでございますっ」

ヤクザ「限りなく、胡散臭ェーーじゃねぇかよ」
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