愛を教えてくれたのは若頭


足を洗い、また家に入ると
お婆さんは私を手招きし
椅子へと座らせた


「あんたを預かるように言われている」


預かる?誰から?
疑問をそのまま伝えたが
お婆さんは教えてくれない


『あの子って、晃さんのこと?』


それに対しては違うと否定した
なら誰?と余計、わからなくなる


『私の服とか、鞄とかってどこに?』


着ていた服も持っていた鞄も無いと困る
さすがに布一枚っていうのも…


「服はこっちで用意してあるよ、鞄は知らないね。あんたがここに連れてこられた時はシーツに包まれ身一つだったよ」


あの時のまま、
あれ。あのときって確か
インターホンが鳴った気がする
よっちゃんの家に誰かが来たんだ
そして私を救い出してくれた

晃さんじゃなかったら
いったい誰が?


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