愛を教えてくれたのは若頭
近々、と曖昧な言葉に
いつだろう、誰だろうと
期待もあるが
同時に恐怖がくっついてくる
キヨさんは何も言わず
相変わらず冬に向けて畑にビニールを引いたり、枯れ葉を集め堆肥を作ったりと
忙しい毎日を過ごしていた
私の中では晃さん、
もしくは風間さんが迎えに来てくれるんじゃないかと期待していた…が
やはり期待は裏切られることになる
『…えっ、なんで?』
私の目の前に現れたのは
晃さんではない
もちろん、風間さんでもなかった
「その節は申し訳ありませんでした」
そう言って頭を下げている男性
見覚えがある
スーツをきちんと着て
姿勢を正し、綺麗に頭を下げている
その後ろには、見覚えがある人が
冷ややかな目で私を見ている
何故、この人がここにいるのかわからない
迎えに来る、と言っていたのは
この人なのかと疑ってしまう