愛を教えてくれたのは若頭


降ろされたのは、慣れた場所
私が過去に客を探していた場所だ
けど、そこはテナントビルが並ぶ町並み
普通に来ても問題ない場所だ



「少し待ってろ」


それだけ言って、晃さんは行ってしまった
風間さんがいるから大丈夫だろうと思っていたが、その風間さんも
待つ時間もなんだから、と
近くのカフェでテイクアウトしてもらってくると言って、行ってしまった

結局、一人になってしまった私
ここから離れることもできず
どうしようかと、
早く戻ってこないかな?と思いながら
二人を待っていた



「久しぶりに見た」


背後から声がし
振り返ってみると
懐かしい、という言葉が出てきた

私服姿だから今日は非番なんだろう
相変わらず優しそうに笑う男に
私もつられて笑った

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