明日へ馳せる思い出のカケラ
 神様なんかいらない。

 俺は心からそう思った。いや、そう嘆いたんだ。
 だって俺同様に驚愕した表情を見せた君だったけど、でもその表情は一瞬にして眩し過ぎるほどの【笑顔】に変わったんだから。

 これがサンタからのプレゼントだっていうなら願い下げだね。
 まぁ、嫌がらせとしてなら納得出来るかも知れないけどさ。
 だけどこの状況に俺は現実として戸惑うしかなかったんだ。

 笑顔を差し向ける君に対し、その時の俺は一体どんな表情をしていたのだろうか。
 もう二度と出会う事が無いと諦めていた君との偶然な再会。

 それが俺にとって、この上なく残酷で哀愁たる未来の訪れを予感させたのは、誤魔化し様のない現実だったんだけどね――。
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